
dimanche 24 décembre 2006【 糴取る神あれば、糶取る神あり 】
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クリスマスイブにカセドラルという言葉を口の端にし、音が少し似ていたのか「せどる」という言葉が連想され、ふとある人物を想い出したのでした。
一般に「せどり」とは「競取」と書き、同業者の中間に立ち、売買の取次をして幾ばくかの利益を得ることを意味します。ほかに「せどり」には「糴取」という漢字もあります。
この“糴”という漢字は、大きく書くと—糴—という字で、入+米と書いた右に、抜き取るという意味の擢を書きます。よい米を選んで買い入れるという意味です。
これには対になる漢字もあって—糶—となります。出+米と書いた右に擢を書き、適当な米を選りだして売りに出すことを意味します。競売や競りにあたる漢字がこちらの字です。
また両方あわせて糴糶 もしくは糶糴 と書くと、文字通り米の売買のことです。これらの漢字の成り立ちを見ると、取引の中で米の占めていた地位を、なんとなく伺い知ることができます。
しかし古本に関して「せどり」といえば、「背取」と書かれるほうが多いかもしれません。本の中身にさらさら興味などなく、背表紙の文字を頼りに本を買い、他の古本屋さんにもっていくことから、このようにいわれるようになったのだとか。
広辞苑にはこの漢字は載ってないので、当て字かもしれませんが、こちらの漢字のほうがぴったりです。
私自身は読みたい本以外は買わないので、背取りというのは、古本屋さんの売値がデータベースのように頭の中に貯め込まれていて、それに基づいて買うのだと思っておりましたが、昔少し顔見知りになった人によりますと、確かにそれはそうなんだが、感覚としてはちょっと違うと申されるのです。
彼がいうに、値段など記憶にないのだが、店に入って棚を見た瞬間、ある本の背文字が眼に飛び込んでくるというか、棚のそこだけ輝いて見える、そういう感じなのだそうです。
どんなことにでも奥儀というものがあり、それはそれで血と汗の滲むような研鑽を積んだのであろうと、素直に感心した私なのでありました。
今もどこかで輝ける背表紙を求め、古本屋さんを歩いているのだろうかと、意味もなく想い出したそんな彼にもハッピークリスマス!
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