
vendredi 25 novembre 2005【 リカルド・ロペス 】
—— プシュ
あれはいつだっただろう。WBCストロー級チャンピオン大橋秀行の2度目の防衛戦。宣伝を込めたとはいえ「150年に一人の天才」とうたわれ、秀逸したテクニックに、軽量級ながらも、驚異の破壊力をもったパンチを繰り出す大橋に挑戦したのは、リカルド・ロペス。
チャンピオンになる前から、リカルド・ロペス時代の到来が喧伝されたその試合は、ロペスの強さを世界に証明した一戦であった。鉄壁のガードに、縦横無尽に放たれる的確なパンチは、今までに見たことのない、文字通り完成されたボクサーだった。ロペスのボクシングは、実に美しい。ゴングの前から高く上げられたガードに、正確無比なブロー。無駄な動きは一切ない。
「単にディフェンスがうまいというだけじゃなくて、相手に遠くにいるような印象を持たせる何かがあって、パンチを打とうとすると、その前によけられているような気がしてならなかった」と大橋は言う。「ロペスの威圧感は尋常なものじゃなかった」
5回、ロペスは切れ味鋭いワンツーを放ち、大橋から1度目のダウンを奪う。そのワンツーの見事さは、大橋をしても完全に見切れなかった。なんとか立つものの、ロペスは迷わずラッシュをかける。大橋をロープに詰め、フィニッシュ・ブローは左のフック。
「ぼくと戦ったときは、ボディブローはあまり打ってきませんでした。でも、ボディにスコーンと伸ばしてくる左ジャブはいやでしたね。効きはしないけれど、放っておけないパンチなんです。ついつい本能で反応してしまうんです。その左に対してぼくは右腕でバリー(払いのける)していたんですが、ロペスはそんなぼくの癖を読み取って頭に入れておいたんでしょうね」
「一度ダウンしてロープに追いつめられたとき、ロペスは、同じように左をボディに伸ばすふりをして、フェイントをかけてきたんです。ぼくはそれに気づかず、それまでと同じようにバリーしようとして、右腕を降ろしたんですが、次の瞬間、顔面に巻き込むような左フックが飛んできたんです。直後目の前は砂の嵐でした。ロペスは罠をかけていたんですね」
大橋は、試合直後のインタビューで、「世界は広いな」としみじみと語っていた。ロペスの生涯成績51戦50勝1分け。アマチュア戦歴40戦無敗。リカルド・ロペスは、大橋からチャンピオン・ベルトを奪うと、22度防衛した後、生涯一度も負けることなく、無敗のまま引退した。
pingURL≫ http://www.crypto.ne.jp/dornblatt/auge/tb/1132844664






OldBookMark
本の枝折
書簏の古本箱
beShop
©2005-2012 crypto