
jeudi 15 septembre 2005【 鯔背なお兄さん 】
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病院で出してもらった処方箋を持って薬局へ行くと、黒いスーツを着たお兄さんが立っておられました。私は空いている椅子に座り、鞄から本を出して読み始めたのですが、立っているお兄さんが少しばかり気になり、ちらちら眺めたりしておりました。
まだまだ涼しくはないこの時期に、いかにも暑そうな黒いスーツのいでたち。少し考えたすえ、製薬会社の人が営業にきて、薬剤師さんの時間が空くのを待っていると、結論づけたのでした。
さて薬局内はというと、薬の処方が終わるのを待つための椅子も、ひとりおきに人が座っている程度で、けっして込んでいるほどでもありません。
薬ができて、ひとり、またひとりと人が減っていき、やがて椅子が何人か分まとまって空いたとき、さきほどの立っていたお兄さんが、おもむろに歩いてきて椅子に腰を下ろしました。
そこでやっと合点がいきました。お兄さんは堂々たる体軀の持ち主、簡単にいえばとても太っている方だったため、どうやら人様に迷惑を掛けまいと、席に余裕ができるのを待っていたのです。
やがてお兄さんは名前を呼ばれ、薬を受け取って出て行かれました。その心配りに少しならず感心するとともに、太っていることに、肩身が狭い思いをすることもあるのだと、薄曇りの空の下へ出ていったお兄さんの背中を目で追ったのでした。
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